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4話 推しに妄想R18BL小説を朗読されるってどういうこと!?

TL小説に転生した腐女子は推し様を攻めたい!ティオ ルシフェリア 推しに妄想R18BL小説を朗読されるってどういうこと!? TL小説に転生した腐女子は推し様を攻めたい!
※本作品は過去作をもとに、一部表現を調整した全年齢版です。物語の世界観はそのままに、より読みやすく再構成しています。


ティオは机に肘をつき、ぱたんとページを閉じると、額を覆うように手を当てた。

「……これ……僕とレオンが……何かいかがわしいことしてる……?」

わかっているのに信じきれない、そんな声色で低く呟く。

「呪いを解くヒントかと思ったのに……開いた途端、僕が……」

「あーーっ!読まないでくださいっ!」

慌てて自作の聖典――妄想ノートを取り返そうとした私に、ティオは手を上げて制した。

「いいから、座って」

抗えず、私は椅子に腰を落とす。
ティオはそのまま私の周囲をゆっくりと歩き、まるで獲物を観察するようにじわじわと距離を詰めてきた。

「君、一体何者?」

「……ルシフェリア・ミルフォードです」

「侯爵家の娘だってのは知ってる。そうじゃなくて……これを書いた目的は?」

(目的? ただ二人の愛を記したいだけなんだけど、どう説明すれば……)

答えられず視線を伏せると、ティオは再び本を開いた。
パラリ、と響く音がやけに大きく感じる。

「『レオン……や、やだ……耳はだめ……っ』」

一度言葉を切り、視線だけをこちらへ。

「『……ティオが可愛すぎるから悪い』」

息がかかるほどの距離で囁かれる。

「……続きを読み上げてもいい?」


低く甘い声音。吐息まで感じる距離で、喉がからからに乾いて呼吸を忘れる。

(……やだ、なにこの色気。反則……!)

固まる私の耳元で、くすりと笑う気配。

「ねぇ……これだけ書くってことは、経験豊富なのかな?」

「え、えええ!? ちがっ……違います!!」

真っ赤になって慌てて首を振る。

「妄想力が強いだけです! 経験なんて……まったく、その……それは、いいんですよ!」

もごもごと潰れる語尾に、ティオがくすっと笑った。

「……妄想って、欲望が出るもんだよね」

本を指でトントン叩きながら問いかける。

「……君、自分がこうされたいって思ってるの?」

「ち、違いますっ!そうじゃなくて……!」

勢いよく否定し、私は身を乗り出す。

「私は……ティオ様を“推してる”んです。あなたが幸せそうにしてる姿が……見たいだけなんです!」

ティオの眉がわずかに寄る。

「……おしてる?」

「推しっていうのは、その人の幸せを願って応援する存在なんです。つまり――」


拳を握りしめて懸命に言葉を続ける。

「私は……ずっと、あなたの恋を応援してきたんです!」

「……は?」

「ティオ様がレオン様に叶わない想いを寄せてるの、私は知ってます。だからせめて……聖典の中で幸せにしたくて。それだけなんです!」

「……急に早口で怖いな。……ってレオン? ただの友達だよ?」

「……え?」

「ていうか君、なんで僕とレオンのことこんなに詳しく書けるほど知ってるの?」

至近距離で疑わしげな瞳で私を見つめるティオ。

(顔が強すぎて何でも言っちゃいそう……でも転生者なんて言えないし……!)

必死に真剣な表情を作り、私は答えた。

「理由は絶対に言えません。口が裂けても……言いません」

きっぱりと断ると、ティオは私の隣に腰を下ろし、静かにページをめくる。

「『レオンはティオの細い腰を掴むと、そのまま膝に座らせた』……これも応援の一環? 君は僕とレオンがこうなることを望んでるの?」

「そ、そう……かもしれません……」

緑の瞳がじっとりと絡み、色っぽさに喉が鳴る。

「……もしさ」

耳元に近づく声。

「僕がレオンとこのシーン、再現してあげる――」

「転生者です!!」

反射的に私は答えた。
言ってはならないという理性が、レオン×ティオが生で見れるという興奮に負けた瞬間だった。



***

自分が転生者であること、この世界が小説の舞台であること。
ティオが解析している“古代語”は私の元の国の言葉=日本語であること。
原作を壊さない範囲で説明する。

「なるほど……」

少し黙り込んだあと、ぱちんと指を鳴らしたティオの瞳が輝く。

「面白い。すっごく面白い!!!」

「……え?」

「ねぇルシフェリア、他にはどんな設定が? 聖女は遺伝?環境で発生するの? もっと教えて!」

(名前呼ばれた……?しかも全然疑ってない……?)

困惑する私を前に、完全に“研究対象”を見る目になっていた。

「……信じてくれるんですか?」

「もちろん! こんなに面白い話、なんでもっと早く言わなかったの?」

(……やっぱり原作通りのティオ様だ。好奇心が勝って信じてくれてるみたい。さっきの色気はどこへ……)

私は息を吐くと、静かに告げる。

「……あの。確かに私はこの世界の未来や、登場人物たちの物語の中での結末を知っています。でも、絶対に”原作”の流れを変えることはしたくありません」

ティオの手が止まる。

「あなたは、私の言葉などなくても、この世界の謎に絶対に辿り着きます。だから私は――」

少し俯きながら続ける。

「ただ……あなたの恋を、応援させてください」

緑の瞳がやわらかくなったように見えた。

「……まぁ、確かに因果が変わるのは困るしね。……わかった、深くは聞かないでおく」

机の上に置かれた聖典を指差しながらティオは続ける。

「でも僕の恋を応援しても、レオンは友達だし」

(強がり……可愛い)

「……それに、僕そんなに腰細くないし、なんであんなにレオンにされるがままなんだよ」

「え、そうですか?細そうだけど……」


何も考えずに手が伸びて、ティオの腰を掴む。

「……細いです」

「っ!? 変態!」

「え!? さっきあのえっちな本朗読したの誰ですか!?」

「君が書いたんでしょ!」

言い合いをしたところで目が合って、二人して笑ってしまう。
少し和やかになった空気の中、ティオが真顔で尋ねる。

「つまり君は、別の世界でこの世界の事を物語として読んでいた。少し先の未来を知っていて……僕を“好き”で、応援しているってこと?」

(好き……?推しってそういうことか)

「はい」

「……なるほどね」

納得したように頷いたティオ。
警戒心の薄れた空気を感じて、私は立ち上がる。

「じゃ、怪しい者じゃないってわかったので帰りますね」

「うん、また明後日」

あっさり返され、扉へ押し出される。

「えっ!?行くなんて言ってませんけど!? それに聖典返してください!」

「怪しくないにしても、変な子には変わりない。返してほしければ、また来ることだね」

ーーーバタン。

呆然としていると、カチャ、と音がして扉が少し開く。

「次はもっと面白い話きかせてね」

にやりと意地悪に笑う顔が覗いたかと思うと、また扉が閉じられる。

(~~っ!! なんなの!? 悔しい!!)




数時間後。
ベッドに転がった私はまだ興奮冷めやらず。

(……なにこれ、今日……)

自作のBL小説を本人に朗読されるとか、どんな人生!?

しかも、色っぽい顔もするし、無邪気にからかってくるし―― なんなの?
尊すぎるんだけど?

「やっぱ推せる!!!」

気付けば新しいノートを開き、走り書きしていた。

『レオン×ティオ 聖典2』

(強がって否定してたけど……絶対私がレオン様と幸せにしてあげる!書くしかないでしょ!)


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