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14話 推しとしてじゃなくて…ついに想いを伝える瞬間

TL小説に転生した腐女子は推し様を攻めたい!ティオ ルシフェリア 推しとしてじゃなくて…ついに想いを伝える瞬間 TL小説に転生した腐女子は推し様を攻めたい!
※本作品は過去作をもとに、一部表現を調整した全年齢版です。物語の世界観はそのままに、より読みやすく再構成しています。


私は決意を胸に意気揚々と研究室に足を運んでいる。


(……今日こそは言うんだから……!)


扉の前で拳をぎゅっと握りしめ、深呼吸をひとつ。
告白して、キスされて、そしてそのまま甘いムードになって――
そんな完璧すぎるシナリオを、昨日の私は枕を相手に三回も練習したのだ。

さらにはセシルに『今日はしっかり巻いてほしいの』と頼んで、さらしも普段よりずっと強めに固定してもらって。

ーーだから、もう準備は完璧なはず。


(気合いは十分……いける……はず……!)


思いきって扉を開くと、そこにはいつものように白衣姿のティオ様がいた。
そして私を見た瞬間、ふわっと笑って――


(……やばい……顔が、良すぎる……笑顔が可愛すぎる)


その一瞬で頭の中にあったシナリオが全部吹き飛ぶ。
さらしをきつく巻いたのも、シミュレーションしたのも、全部意味を失っていく。

ティオ様の顔を見た途端、口が動かなくなってしまった。
あれほど威勢よく練習していた自分が、今ではまるで幻みたい。


「今日も来てくれたんだ?ありがとう。毎日ルシに会えるの、嬉しいよ」

「……っ」


視線を落とし、小さな声でぶつぶつ呟いた。


「だって私が行かないと……ティオ様、部屋に来て……えっちなこと、するから……」

「えっちなこと?」


不意に耳元で囁かれ、肩がびくんと跳ねた。


「……どんなこと?」

「え、あの、その……」


ますます声が小さくなり、俯いてしまう。


「……耳、たぶ……はむはむとか……」

「……ふふっ」


ティオ様が楽しそうに笑う。
完全に意地悪な顔だ。

「“はむはむ”って、そんな可愛い言い方するんだ?」

「だっ、だって……っ」


顔を真っ赤にして言い返す私に、ティオはますます楽しそうに顔を寄せてきて――


「……じゃあ今日も“はむはむ”しようか?」


と、わざとらしく囁いてくる。
一気に顔に熱がこもり、慌てて否定する。

「し、しなくていいですっ!」

「ほんとに?……耳、好きなんでしょ?」

「~~~~っ!!!!」


からかい終えると満足したように、ティオは紙袋を取り出した。


「そうだ、今日の休憩に食べようと思って買ってきたんだ。甘いの」


包みを開けると、可愛らしい焼き菓子が並んでいた。


「……わぁ。美味しそう」

「でしょ?君のこと考えて選んだんだよ」

「……っ、またそうやって……」


顔を赤くしながら一つ口に運ぶと、しっとり甘い味が広がった。


「美味しい……」

「よかった。君が喜んでくれるの、やっぱり嬉しいな」


視線を逸らす私に、ティオがふっと笑って小さく呟いた。


「ねえ、最近……僕のことばかり考えてるでしょ?」

「……っ!」


思わず咳き込んだ。


「そ、そんなこと……!」

「ふふ、ほんとに?」

「…………そうですよ。考えてますよ……っ」


しぶしぶ認めた瞬間、ティオが顔を近づけ、頬にそっとキスを落とす。


「……ティオ様っ……どうしていつも勝手にちゅってするんですかっ」

「……嫌だった?」

「~~~~~~っ!」


完全に彼のペースに振り回されている。
すると、にこにこ笑っていたティオの瞳が、ふいに真剣な色を帯びる。


「……ねえ、僕がもし他の人にこんなことしたら……君どう思う?」

「レ、レオン様なら……別に……」

「あはは、それ誤魔化してるよね?」


静かに、けれど真っすぐな声で問いかけてくる。


「じゃあ、他の人なら?」

「…………嫌、です」


心の奥から漏れた本音が、隠そうとしても口からぽろりと出てしまった。
ティオがそっと指先で私の手を包む。


「……なんで?」


優しい声なのに、どこか苦しげで。
私は俯いたまま、息を詰めた。


(……言うって決めたはずなのに……)


「ティオ様のこと、す……」


言いかけた瞬間、最後の一文字が出てこなかった。


「ねぇ、最後まで言って? ……君の口から、ちゃんと聞きたい」


指先が喉元をなぞり、甘く囁く。
顔近付き、視線が絡む。
もじもじしている私に、ティオは口元をゆるめて笑った。

「じゃあ……おあずけだね」

耳元で囁かれ、悔しくて、恥ずかしくて、でも胸の鼓動は止まらない。
……もう耐えられない。

「……じゃあティオ様は、どうなんですか?」

勢いで顔を上げると、ティオがわずかに目を見開いた。


「え?」

「私ばっかり、焦らされて、試されて……ずるいです。」


一瞬の沈黙の後に、ふっと目を細めたティオが、優しく微笑む。


「好き。……大好き。僕の方こそ毎日君のことで頭がいっぱい。目が合うたび、抱きしめたくなる。どんどん好きになっていくの、どうしよう?」

「……っ」

「ルシちゃん、……好きだよ」


そう言うと、頬に何度もキスをされた。

「ルシ……好き」

その瞳は優しくて、熱くて――
反撃のつもりで放った言葉が、想像以上に胸を撃ち抜いてきた。


「大好き……君の全部が、愛おしい」


ティオの声は甘くて優しくて――
心がとろけそうになっていく。


「……ずるい……」

「え?」

「私ばっかり、毎日ドキドキして、振り回されて……どうしたらいいのか、わからなくなるくらい……っ」


私は覚悟を決めて口を開いた。


「もう、”推し”としてじゃない……」


震える指先で白衣の裾をきゅっと掴み、息を詰めたまま彼の目を見つめる。


「……ティオ様、……好き」


……気づいたら私は、“推し”としてじゃなく――
彼自身を心から好きになっていた。


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