~TL小説『××すぎるんです、公爵様…っ!』の世界に転生した腐女子ヒロイン。
そこで推しの天才研究者ティオ様に執着され、逆に攻められてしまう!?
これは、主導権をめぐって揺れ動く“せめぎ合い”のラブコメディである。~
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漫画もアニメも小説も、ジャンル問わず、ちょっと刺激的な恋愛物語が大好きで。
そんな私が何度も繰り返し読み返してきた小説――
『××すぎるんです、公爵様…っ!』
これは、黒髪の聖女が公爵に毎晩愛される、触れ合うことで呪いが緩和するという王道のTL小説だ。
私の推しは、公爵レオンの男友達である、天才研究者の、ティオ・アルバレスト。
孤高の知性を持つ美形でありながら、原作では“ただの親友”で終わる存在。
――そう、私には”別の愛”の物語に見えていた。
物語の中のティオ様は、あくまで「天才で変人な友達ポジション」でしかない。
……でも、絶対男主人公のレオン様のこと恋愛的な意味で好きだよね?(※41話番外編参照)
恋する乙女みたいな顔で「あの時のレオンは王子様みたいだった」って言ってたよね!?
※実際、原作に恋する乙女みたいな顔の描写は存在しない。
あれもこれも、原作では“親友同士の微笑ましい場面”なんだろうけど……私の腐女子フィルターを通すと、完全にBL展開にしか見えなかったんですけど!?
だからこそ、私はひっそり”推し活”と称して結ばれない二人を幸せにすべく、二次創作に勤しんでいたのだった。
ーーー
そんなある日、目を覚ますと私は『絶倫すぎるんです、公爵様…っ!』の世界にいた。
「……は!?なんで私、美少女になってるの!?」
そして決意した。
この物語の主人公はあくまでヒロインと公爵様。
私は静かに推しを眺め、そっと“推し活”するだけの存在になろうと。
余計なことはせず、波風も立てず――
――原作を変えないように。原作が完結する、その日まで。
本気でそう思って、頑張っていたんだよ?
物語を壊さぬよう、影から見守っていた“つもり”だった。
……なのに。
原作が幕を閉じた“その瞬間”、推しが全力で“私ルート”に突入してきたんですけど!?
人懐っこい笑顔を見せながら、どこか線を引いていたティオ様が。
私の名を呼び、視線を追い、時にぐいぐい迫ってくる。
いやいや、違うでしょ!?
私が望んでるのは“ティオ×私”じゃない!
“レオン×ティオ”が見たいんだよ!
ティオ様がレオン様に攻められてる姿を堪能したいだけなのに!!!
これは、ただの恋愛小説では収まらない――
「推しの甘く崩れた顔を求める私」と、「攻めたい、甘やかしたい推し様」。
二人の関係は、恋と欲望と推し愛によって、じわじわ乱されていく。
※この物語は、公式で“友人キャラ”とされていた人物を勝手に受け認定し、暴走した転生腐女子の記録です。
なお、私がティオ様の甘く崩れた顔を見るために培った知識や技術が、後に侯爵家の繁栄に繋がるなんて……この時は夢にも思っていなかったーー

